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国際協議会に出席して
2006年国際協議会は、2月16日〜23日にわたり、アナハイムから移動しての最初の国際協議会となる、米国カリフォルニア州サンディエゴにて開催されました。サンディエゴは、ロスアンジェルスからメキシコに向けて300キロ南下したところの美しい海岸線に恵まれた都市であり、発展と成長を続けています。アメリカ海軍の重要な基地として、また海洋学の中心地としても有名です。
 最近ではWBC(世界野球選手権)の準決勝、決勝戦が行われ、日本チームが奇跡的な優勝を遂げた球場(ぺトコパーク)が市街地の真中にあります。
 会議はマンチェスター・グランドハイアット・サンディエゴ・ホテルの全ての大小の会議室を利用して行われ、世界168ヶ国、531地区のガバナーエレクト夫妻、RI理事・役員夫妻、スタッフなど総勢約1,750人のロータリアンが一堂に会しました。
 そこで、次年度のテーマ発表から始まり、全体会議を11回、小グループ(17人)の研修・討論会(70分)を14回、RIの地区支援説明会を2回、親睦パーティを1回、国際フェスティバルを1回と、7日間に亘る協議会と一日一日をフルに活用した協議会のプログラムであり、配偶者も殆ど同じようなプログラムを消化しました。
 
 2月17日の開会本会議において、ステンハマーRI会長の開催挨拶の後、ニュージーランド出身のウイリアム・ビル・ボイドRI会長エレクトが登壇し、静かに語りかけました。
 冒頭、ウイリアム・ボイドさんは、私たちに何を話したらよいか思案していた時、ロータリーに関する読み物の中で座右においてある本「ロータリー・モザイク」の1節を紹介しました。
 この本は同じニュージーランド出身のハロルド・トーマス元RI会長(1959-60)によって書かれたもので、ハロルド・トーマスさんが1959年に自ら主催した国際協議会において話された「『方法と技術と手続きがなければ、国際ロータリーのような組織はもちろんのこと、一ロータリークラブさえ運営することは出来ない。だとすれば、そのような機構を用いるからには最高のものを備えなければならない。しかし、機構は目的ではなく、あくまで目的達成のための手段に過ぎないということを銘記すべきです。目指すところは良きロータリーと良きロータリアンになることにほかなりません』、半世紀近くの年月が流れた現在も、目的は変わらず、ここへ来て学ぶ目的は、良きロータリーとより良きロータリアンです」と述べ、さらに「ロータリーのリーダーであることの意味は、クラブとロータリアンを優先することです。ロータリーにおいては、他の会員よりえらい会員はただ一人として存在しないことを肝に銘じておくことです。他より重要な責務に携わる会員はいるが、他より重要な会員はいない。一人ひとりのクラブ会員、クラブ会長、地区ガバナー、理事、そしてRI会長は、みな等しくロータリーの一部であり、ロータリーの将来の一部である」と述べました。
 寛容と思いやりと誠実さを日々実践し、自からが手本を示すことによって、ロータリーの道を率先しよう。そして良きリーダーたるものが謙虚さを備えていることを踏まえ、親切心と微笑を持って率先していこうと呼びかけ、“LEAD THE WAY"「率先しよう」を2006年RI会長テーマとしました。
 保水、識字率向上、保健と飢餓防止と家族の絆の強化を強調事項として、「従来のやり方を惰性としてそのまま繰り返すような現状に甘んじることなく、生じた問題に対して、誰かが解決するだろうなどと責任逃れすることなく、それどころか、解決しようと、自ら先陣を切るのが私たちです。それに、より良い未来を築く技術と願望を備えているのが私たちです。そして、「率先しよう」と立ち上がるのが私たちなのです。私たちが一人ひとり善行を為すことによって着実に世界を変えていくロータリアンの力を信じています」と言ってロータリアンに対して絶大な信頼を寄せ、ロータリアンの力に期待する信念を表明しました。
 スピーチの終わりに、コフィ・アナン国連事務総長の言葉を引用して「十分な数の人が物事を良くしようと決断すれば、物事は良い方へと変わっていきます。一つ目的の下に普通の人が集まる時、変化を起こすことができるのです」と言って、半世紀前のハロルド・トーマス氏が抱いた目的と同じ共通の目的を持って集まっている私たちの目的は、今も昔も変わることなく、良きロータリーと良きロータリアンである。その時が来るまで待っているようでは十分ではない。私たち全員が率先して先頭を切って行くのですと締めくくりました。
 ロータリーの綱領に添った奉仕活動や、徳を涵養する心の訓練、向上心や奉仕の源泉となる素朴な親睦活動など忘れていたものを思い起こさせてくれました。そして失敗を恐れず、率先して何かをしなければならないと強く意識しました。
 スタンディング・オーベイションの後、場内は暫くざわついていたのですが、私は感動しました。簡明なフレーズでしたが、私たちが惰性に陥り、問題を先送りしていたことへの痛烈な一撃のテーマでありました。
 痩身で満面笑みを浮かべ、実に優しいお人柄の会長エレクトであります。

 クラブ・リーダーシップ・プランの事例、ロータリー財団の現況と効果と未来、青少年交換の成功物語、ロータリーの公共イメージアップはロータリアン一人ひとりが担うものであることやリーダーシップについて等々、全体会議で取り上げられ、それらについてのグループ討論が行われました。

 全体会議のなかでも「リーダーシップと意欲の源」と題してビチャイ・ラタクル元RI会長のお話に深く共鳴し、感動しました。教訓とアドバイスと心も持ち方について示唆に富んだ話でありました。
 中国の偉大な思想家、老子の教えを引用しました。「最も理想的な指導者とは、部下からその存在さえも意識されない。部下から敬愛される指導者は、それよりも一段劣る。これよりさらに劣るのは、部下から恐れられる指導者である。良き指導者とは、功を成し遂げても自らはそれについて語らず、人々が『われわれが自分たちの力で成し遂げたのだ』と喜べば、それで目的は果たされたとする」。このように珠玉の如き素晴らしい凄い話が随所にありました。
 信念とは、目標を持ち、危険も辞さず、信条を堅持し、小さな失敗を積み重ねながら力を蓄えてゆくことから生まれるものである。成功と失敗が車の両輪となって、最後には全てが上手く行くという自信を培うのです。
 心に留める重要なことは、謙虚にして自信を持つことです。自信なくして謙虚な態度というのは、ただの臆病に過ぎません。その逆に謙虚さなくして自信満々というのは、傲慢以外の何ものでもありません。謙虚さと自信、この両方を調和することです。謙虚さと自信は、真心と同じく内側に潜む資質であります。
 指導者たる者は、堅忍不抜の精神を持つだけでなく、勇敢に立ち向かうことが出来なくてはならない。勇敢な精神とは、堅忍不抜のそれとは違います。堅忍不抜とは、危険や逆境や苦しみを決然として耐え抜いてゆく力ですが、勇敢な精神とは、危険を冒し、人跡未踏の地へ足を踏み入れ、成功を目指しながらも失敗を恐れず、冒険に向かっていく気概のことです。
 私は敬愛するビチャイ・ラタクル下RI会長のスピーチに感銘を受け、さらにボイドRI会長エレクトのテーマに関するスピーチにも大きな刺激を受けました。これらの言葉や話を十分に咀嚼して、次期RI会長ウイリアム・B・ボイドさんのテーマ“LEAD THE WAY"「率先しよう」を大事にして、実践していく所存でございます。
 どうか皆さん社会にじっと耳を傾け、社会のニーズに沿ったプロジェクトを立ち上げ、率先して社会に役立つことを共に行いましょう。

 今回、役目柄とはいえ、ロータリーのこのような素晴らしい経験をさせて頂いた皆さまに深く感謝申し上げます。同時に国際協議会の様子や、国際ロータリーの方向付け、世界のロータリーの動向、国内各地区のロータリーの現況など具にお伝えしなければならないと思っています。 今後ともよろしくお願いします。