スタイル(様式)を磨こう

織田ガバナー

国際ロータリー第2790地区
2010−2011年度ガバナー 織 田 吉 郎

 国際ロータリー第2790地区ロータリアンの皆様、2010−2011年度の一年間、皆様と共にロータリー活動を通じて奉仕できますことをとても光栄に感じております。
皆様におかれましては意欲も新たにそれぞれの活動に取組まれたことと思います。

  レイ・クリンギンスミスRI会長は、RIテーマとして“Building Communities,Bridging Continents ”「地域を育み、大陸をつなぐ」を提唱されました。
クリンギンスミス会長のまとめた四大奉仕の活動を展開することによる成果を一つの文にまとめてみると、「私達は例会に集い相互に研磨しあうことで、人生を謳歌し善き市民となるよう自らを導き、奉仕活動の実践によって地域を住みやすく働きやすい場所に変え、世界平和・国際理解を深め、世界をより良い場所にしてゆこう」ということになります。
このエキスが「地域を育み、大陸をつなぐ」というテーマとなりました。このテーマにはロータリーの中核となる5つの価値観「奉仕」「親睦」「多様性」「高潔性」「リーダーシップ」が、またロータリアンの持つ「情熱」「独創性」「寛大さ」への思いが込められています。

  私は日頃から、家族を愛する気持ちの延長線上に郷土愛があり、それらを前提に祖国を大切に思う気持ちが育まれ、その先に人類愛という大輪の花が清らかに咲き誇るのだと考えています。
家族や郷土を愛することのできない人が人類愛を語ることに説得力がないのと同様に、高潔な生き方を志そうとしない人が「地域を育み、大陸をつなぐ」ことにも無理があります。「例会を通じて自らを磨き続けること」を基本に据えて、私達はこのテーマに真摯に向き合い、こころをひとつにして奉仕の道を共に歩んでゆきましょう。
私達のクラブはそれぞれロータリーの綱領を大切にしながら長い年月をかけて、1業種1会員制で“業界代表の集い”という誇りを育み、例会を重視することで明確な活動軸を作り、四大奉仕で企業活動の基本となるような奉仕の理念を導入・育成するための4つの切り口を明示するなど、ロータリーならではのスタイル(様式)を築き上げてきました。
そのうえにクラブ独自のDNAが先輩達から引き継がれて、クラブの“風土”(文化や伝統)を作っています。他のクラブを訪れる楽しみはこの風土にふれること、そこに咲く個性豊かな美しい花を楽しむことです。私はそれをローカリズムの尊重と表現します。しかし今、このスタイルが危機に瀕しています。

  国際ロータリーは世界中のクラブを均質化することによって組織の活動効率を高めようとしています。例えて表現すればそれは世界中のクラブをバラの花で統一しようということです。
こうした上意下達によるグローバルスタンダード化はロータリーをボランティア団体として一元化してゆくことには役立つのでしょうが、ロータリーは本来そういう団体ではありません。私はこの危機をロータリーを正常化するチャンスと捉えています。幸いレイ・クリンギンスミス会長は昨年度のジョン・ケニーパスト会長に続いてオーソドックスなロータリーを志向し、綱領を大切にする姿勢を鮮明に打ち出しておられます。

各クラブの皆様はこの一年間、クラブにとって何が「不易」で何が「流行」か、を徹底的に討論してください。その過程でクラブの「物差し」がより高い質を持ち、それがクラブの自治能力を一段と高めてゆくことにつながります。
私は、日本のロータリーの危機は大別して3つの要素によってもたらされていると考えています。それを

 

(1) 国際ロータリーの問題
@ 職業奉仕理念の衰退(哲学・倫理等論理の回避)
A 中央集権化(RI事務局支配の強化)
B ボランティア団体化推進(世界中のロータリアンで1つの大きな成果を)
(2) 日本社会の問題
@ 職業倫理低下(市場原理主義による荒廃、金銭至上主義の浸透)
A 文化的底力(ローカリズム)の衰弱(大局観を失った日本人)
B 我慢力の衰弱(飢餓からの開放)
C ボランティア運動の大衆化(NPO,NGOの一般化)
D 地域格差の拡大(Winner Takes All)
(3) 日本のロータリー(クラブ)の問題
@ 職業奉仕理念の衰退(ロータリー綱領の軽視、グローバルスタンダードへの依存体質)
A 例会の形骸化(例会の目的意識の希薄化)
B ロータリアン自身の魅力低下(高潔性を求めなくなった増員作戦)

とまとめてみました。もっと多面的な見方もあろうかと思います。この私の視点をたたき台にして、クラブで「今、ここにある危機」を語り合っていただきたいと思います。

  日本のクラブは国際ロータリーの進めている間違った趨勢に流されてはなりません。少し大上段に構えすぎだとお叱りを受けるかもしれませんが、私は今日本のロータリーは「孤高のロータリー」になることを恐れてはならないと考えています。ロータリーの本筋を取り戻し、世界のクラブに範を垂れることこそが、日本のロータリーの果たしうるロータリーの世界史的貢献なのだと信じています。

  皆様それぞれクラブ独自のスタイル(様式)を磨いてください。その過程でクラブに意欲がみなぎり、会員個々人が磨かれ、結果として地域社会が活き活きしてくるのです。まさにロータリーの未来は私達の手の中にあるのです。
私達の手によって地域を育み、大陸をつないでゆこうではありませんか。

略歴 氏  名 織田吉郎(おだ よしろう)
  生年月日 1946年(昭和21年)1月31日
  氏  名 織田吉郎(おだ よしろう)
  現 住 所 〒288-0005 銚子市海鹿島町5239―41
  TEL/FAX 0479−24―1557
  所属クラブ 銚子ロータリークラブ
  職業分類 建築設計
ロータリー歴  1987年4月15日 銚子ロータリークラブ入会
  1992年〜1993年 同クラブ幹事
  2000年〜2001年 同クラブ会長
  2006年〜2007年 50周年記念実行委員長
  2008年〜2009年 第7分区ガバナー補佐
  2010年7月〜  ガバナー
認 証   ベネファクター
    マルチプルポ−ルハリスフェロー
    米山功労者

 

 

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