職業奉仕委員会

   猿田副委員長の卓話 2

   
  職業奉仕について
                                                   RI第2790地区職業奉仕地区委員
                                                              猿 田 正 城

  銚子ロータリークラブの猿田と申します。
次年度地区職業奉仕委員を務めます。よろしくお願いいたします。
本年度、第7分区ガバナー補佐となりまして、白鳥ガバナーのご指導を頂くうちに、その人柄に引かれまして引き受けることにしました。
  職業奉仕という単語は、ロータリー独自の単語であります。
辞典には載っておりません。
この言葉を理解する上での基本は、皆様既にご存知の通り、ロータリーの綱領第2項に揚げられております。この事についての説明は省略致します。
 
  私は、職業奉仕を理解する上での基本を、四つの柱に分けて考えております。
まず、第一は、職業とは何かを知ること。
第二は、従事する者の心構えについて考えること。
そして、三番目は、世の中に必要な職業に従事すること自体が、社会に奉仕することであること。
最後の柱は、品格を備え、より役に立つ職業の在り方を模索して努力することが、人間形成につながり、人間としての存在価値を高めることになるということであります。
 
  私の職業分類は神道です。銚子市に鎮座する猿田神社の宮司をしております。
昭和33年3月に国学院大学を卒業し、県立成東高校の教壇に立ちました。市立銚子高校の生徒指導部長をしている時、父が急に病に倒れて、宮司を務めることが困難となりました。
長男である私は、止むを得ず退職し継ぐことにしました。
  氏子80戸の小規模神社です。父は農業をしておりました。私は何とかして神社の収入で家族を養おうと決意しました。祈祷料や授与品の値上げなど生活費を得るための神社経営をすることになりました。
  1985年、私は銚子ロータリークラブに入会させて頂きました。そこで、職業に、また、生活費を得るために、神職の仕事をしていたことを恥ずかしく思いました。
 
  職業とは何かを日本ではじめて考えた人が江戸時代の初期におります。
鈴木正三という禅僧です。彼は、職業とは仏の働きを具現したもので、一人一人の職業は仏によって授けられた尊いものである。だから、自分の職業を一生懸命果たすことが、仏の仕事を助けることになり、その結果、成仏できるのだと説いて回りました。
  この世の中で、皆が同じ職業に就いていたのでは成り立ちません。社会を構成する上で必要な職業を、一人一人が分担し、その責任を遂行することで豊かな人間社会が成立するのです。自分の職業は選ばれた職であるという自覚を持ち、それに感謝してその責任を果たすことが大切だと考えるようになりました。
  私はまず神社を訪れた人々に"良い感じのする神社"にしようと思いました。ペンを設置したり、木々に名札をつけたり。石段に手すりを設けたり、色々な試みをしました。その結果、参拝者が次第に増加してきました。その頃「神社の品格」ということを考えるようになりました。神社運営の基本理念を「直にして温」という言葉にしました。
 

 拝殿の大きな鈴を取り除くなど、世俗的な装飾を無くしました。境内の清掃に力を入れ、素朴で清々しい神社にするように力を尽くしました。従業員や巫女の教育にも心を配りました。ますます参拝者が増えました。
  そして、今は人々の "心の安らぎを与える"ことに神職の存在価値があると思うようになりました。神社の参拝者用休憩所に行きますと、"宮司の言葉"と書かれた箱があり、その中に宮司直筆の色紙が何枚も入っています。毎月新しいものを加えているうちに多くなりましたので、宮司の言葉集を用意することにしました。これは非常に好評で、欲しいという人がかなりあります。
  現在は、毎日、全国各地から参拝者が訪れるようになりました。歳入も充分にあり、県知事や、税務署長に歳入の決算書を提出する神社となりました。この背景は何か? 尋ねられましたら、私は迷わず "ロータリーに入会したこと"そして、"職業奉仕を知ったこと"、それを"実践したこと"によると答えます。これで私の話を終わります。
  ご清聴ありがとうございました。